ブルース・コバーンの曲を1曲選ぶとすれば。

カナダを代表するシンガーソングライター、ブルース・コバーン

カナダ出身のシンガーソングライターと云えば、ニール・ヤングジョニ・ミッチェルレナード・コーエン、と云った辺りが有名ですが、カナダと言われて、管理人が真っ先に思い浮かべるのは、ブルース・コバーンでしょうか。

前出の3人は、主にアメリカをベースに活動していますが、ブルース・コバーンは、デビュー以来50年近く、カナダをベースに活動して来ました。(最近は、アメリカに住んでいるという説もありますが。)1970年に、ファーストアルバム「Bruce Cockburn」を発表して以来、30枚以上のアルバムを出し、現在も現役バリバリで活動中で、真の意味で、カナダを代表するシンガーソングライターと言えるのは彼なのではないかと思うのです。

ブルース・コバーンの音楽の幅の広さ。

ブルース・コバーンは、70年代前半に5枚のアルバムを発表しているのですが、その辺りまでは、基本的にアコースティックギターの弾き語りがメインの、フォークシンガー的なシンガーソングライターでした。ただ、彼が一味違っていたのは、バークリー音楽院でジャズを学んでいた上に、ギターが目茶苦茶上手いという点でしょうか。

同時代のアメリカのシンガーソングライターと比べ、一聴して解るのが、カントリー色が余り感じられないという点でしょうか。ジャズ的な要素に加えて、当時としては珍しい、ワールドミュージック的な要素が取り入れられていて、単純にフォーク的とは言い難い、独特の世界が展開されています。

ひとことで言うと、「冬の夜」の様な音楽とでも表現できるでしょうか。ヒンヤリとした空気感の中に薪ストーブの暖かさの様にホンノリと浮かぶ彼の唄が、そんな世界を造り出しています。

そして、特筆すべきは、彼のギターの上手さでしょうか。初期のアルバムには、必ずアコースティックギターのインストゥルメンタル曲が何曲か収められています。唄モノの間にある、そうした曲も、他のシンガーソングライターには無い魅力となっています。

そして、70年代後半からロック色とワールドミュージック色が強まり、それと比例して、歌詞の内容がメッセージ性を帯びて行き、いわゆる「プトテストソング」的なものが増えて行きます。この辺り、アメリカのシンガーソングライターとは逆な流れになっていて、興味深い点ではあります。

ブルース・コバーン、この一曲。

では、30枚以上あるブルース・コバーンのアルバムの中で、とりあえず何を聴けばいいのか。個人的な好みで言っちゃうと、彼の魅力が凝縮されているのは初期のアルバムなのではないかと思っています。特に75年以前のアコースティックギター弾き語りが中心のアルバムは、彼の魅力が凝縮されている様な気がします。

ファンの間では、セカンドアルバム「雪の世界(High Winds White Sky)」が初期を代表する傑作だと言われているのですが、管理人は、敢えて5枚目のアルバム「塩と太陽と時(Salt, Sun and Time)」をお薦めしたいのです。何故かと言えば、このアルバムの1曲目の「この世のダイヤモンド(All the Diamonds in the World)」という曲の素晴らしさに尽きます。特にヒットした曲でもありませんが、数ある70年代のシンガーソングライターの名曲に比べても何ら遜色ない素晴らしい曲だと思います。もちろん、アルバム自体の出来も、捨て曲なしの傑作です。

日本での知名度はイマイチなブルースですが、実は4回来日しています。1977年の初来日公演は、管理人も観ています。最近では、2018年にビルボード東京での公演がありました。(残念ながら、こちらは行けなかった。)

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